自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

080.

私はいわゆる「盗聴法案」にはあくまで反対であります。その理由はいうまでもなく憲法で保障された通信の秘密の確保を否定するものだからであります。つまり盗聴法案は違憲立法であり、当然排除されるべき目論見なのであります。
 憲法の規定も、その制定当時の社会環境その他の変化によってそのまま通用させるのが難しいようなことになれば、それを埋め合わせるような法的整備は行うべきでしょう。もし、通信の秘密の確保が憲法制定当時想定されていなかった事態の出現により修整を加えなければならないというならまだわかる。けれども、通信の秘密の確保と言った時、当然、善良な市民ばかりでなく犯罪者にも有利となる法律であることは制定者自身がよく知っていたはずであります。悪人を利する面も否定できないけれども、それでもだれもが通信の秘密を守れる権利を有していることのほうが比較にならぬほど貴重であり重要なのであります。

1999.06.06