自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

067. 感性か知性か

 ある文章の中でのある語法を自然に感じたり不自然に感じたりするのは、人間の感性によるのか知性によるのか。
 ある理に反していると思えばこそ不自然に感じるのであり、理にかなっていると思えばこそ自然に感じるのであるあるから、そこに根本的にあるのは知性である。知性の働きが<自然な感じ>とか<しっくりくる感じ>などの感性の発動に結果するとき、その感性の発動はたとえば芸術的感動とどのように本質的に異なるのであろうか。
 感動とは感性のみの働きととらえてよいのだろうか。それとも、芸術的感動の中には、じつは知的な営為が含まれているのだろうか。
 そもそも、知性と感性は、二元的に存在しているものか、同根のものなのか。
 じつは、人の心の動きというものは、99%までが知性の発動なのである。残る1パーセントとは、刺激に対する反射的感覚にすぎない。感性なるものは、決してある精神状況を感覚として説明するのでなく、感覚に触発されて出現する知性の総称と考えてよいのである。

1999.02.11