073●イヤな時代
ある事件の容疑者の家の塀が、スプレーの落書きで一杯になっているという。1人や2人の人間によるものでなく、見物に来た者が次々と書き足していくのだそうだ。「イヤな時代になったものだ」と出演者の1人がコメントしていた。
この件に限らず、「イヤな時代になった」と感じさせる出来事は多い。とすると、昔はもっと良い時代だったとわれわれは思っていることになる。さほど積極的に昔を評価しないとしても、「これほどイヤな時代ではなかった」とは少なくとも思っていることになる。たしかに、ある意味においてはそういうこともいえるのかもしれない。
しかし、本当にイヤな時代になったのだとしても、ある意味では進歩といえないこともないだろう。つまり、今よりより良く思える過去は欺瞞だったのであり、今はその欺瞞性が打ち破られているのだと考えられなくもないからである。
少なくとも、人間を固定的にとらえてしまうことへの自戒を促す事ではある。どのような人間でも真実である。イヤな人間でもイヤな真実なのである。19990321
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