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016    良き心

 世の中には不快な事ばかり追求していく人がいる。それも、あるいは大事なことなのだろう。けれども、そればかりでは救いがないではないか。愉快な事、すがすがしい事、美しい詩的な心情、そういうものを感じることができなくなるまでに、不快な事のみに没頭してはなるまい。むしろ、快なるものに敏感になることこそ大事なのであり、そういう良き感性を磨いていくことによって、不快な現実に正しく対処できるのではないかと思う。今の時代はそういう時代ではないか。良き感性、良き心、あこがれる心を取り戻したい。
 良き表現というものは、暗いだけの中でいかに模索しても見つからないものであろう。
 随筆というものを、小さなものでよい、感動したことのみを書くことにしたらどうであろう。本当に小さなものでよい。むしろ小さな微妙なことや、ふとしたこと、ふと浮かんだ想いを、逃さずとらえるところに、道は開けるのかもしれない。




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