自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

046. 夢と金

 今の子供たちは、おそらく昔の子供たちのような「夢」が、心の中にあまりないのだろう。夢というのは、決して具体的な意味でない、人生の総体に託するあこがれのような感情のことである。言葉にならない「夢」を、心にもちつづけることは容易でないが、やはり大事なことである。
 金がなさすぎても、またありすぎても、夢というものはもちにくい。なさすぎても、ありすぎても、人の心は金に頼るものになるからだ。金に頼れば、金に支配される。金に支配されきっている状況下では、夢をもつ能力も圧殺されてしまうのが人間というものである。
今の日本人は、頭の中を金で支配されることを、なにか賢明な生き方のように錯覚している。金が欲しいとか、金を守ろうとか、そんなことをあまり考えないでいさえすれば、夢を持ちたいという気持ちも生まれ、そして実際に夢をもつことが可能になるのだ。